2023年3月28日から、アップルが米国で「Apple Pay Later」サービスを開始した。
「Apple Pay Later」は、日本語で言えば「Apple Pay 後払い方式」
すごく簡単にいえば、金利0円での後払い分割方式。
Apple Pay加盟店での買い物(特にそこそこ高額な商品の買い物)がしやすくなる。
アップルは、2022年以内に「Apple Pay Later」を実現するようなことを言っていたが、2023年にずれ込んだ模様。
この記事は、「Apple Pay Later」について、その概要と有効性、日本への導入などに関して現時点で判明していることを提供する。
「Apple Pay」とは ?「ウォレット」との違い
今更ながらだが、「Apple Pay」とはクレジットカードや交通系ICカード、電子マネーなどを登録しておいて、スマホを介して全てのカードを利用できるサービスのことだ。
たまに、「Apple Pay」と「ウォレット」って、何が違うの?って混乱する人がいるみたいだが、「ウォレット」は「財布」という意味なので、そのまま「ネット上での財布」だと思ってもらいたい。
「ウォレット(財布)」のなかに、クレジットカード、交通系ICカード、電子マネーなどを「登録して(入れて)」スマホなどの通信機器を用いて決済(Pay)する。
アップルのサービスだから、「Apple Pay」と、こういうわけだ。
近所の子がアップルパイで払うって言っていたが、アップルペイだ。
店員が困るだろうから、アップルパイで払うのはやめてやってほしい。
なお、店で決済するときは、「クレジットで」「スイカで」とか、実際に使うカードを言ってから「Apple Pay」を通して決済するという形が普通。
俺は「Apple Pay、クレジットで」みたいに言う時もあるけどね。
「Apple Pay Later(後払い)」の概要
米国で先行している「Apple Pay Later」の利用方法は以下の通りだ。
まずは、前項の「ウォレット」で申し込みをする。
この際、ソフトクレジットプル(簡単な調査)が行われる。
アップルは、「Apple Pay Later」のために、「Apple Financing」という名の子会社を設立しており、それがこのソフトクレジットプルを行うことになる。
なお、申し込みの際、「ウォレット」に支払いをするためのデビットカードの紐づけが必要となる。
クレジットカードは不可。
多重債務が発生する可能性をなくすためだ。
「ウォレット」で登録されたら、Apple Pay加盟店及びアプリ内での購入で「後払い」がオプションとして利用可能となる。
ローンの管理、返済などは全て「ウォレット」で行うことができる。ウォレットのカレンダー表示で返済日などが表示されるようになり、支払期日が近づいてくるとウォレットからメール通知がくるようになる。
なお、後払いは4回(6週間)に分けて行うことができる。
金額は、50ドル(6,500円ぐらい)~1000ドル(13万円ぐらい)
現時点での対象ユーザーは、無作為に選ばれた一部の「ウォレット」および「Apple ID」メンバーのみ。
プレリリース版ということなので、今後は一部のメンバーだけでなく、有資格のメンバーも含めて大きく拡大していく方角となる。
「Apple Pay Later(後払い)」は、どうなのか?
さて、「Apple Pay Later」だが、実際のところどうなのか?
この景気後退局面においては、「後払い」という選択肢を魅力と思うユーザーも少なからずいる。
後払いサービスは、昨今急激に需要が高まっており、市場規模は2025年までに6,800億ドル(約91兆円)、もしくはネット通販の全取引に占める割合は12%に達するとみられているらしい。
何らかの理由でクレジットカードを所有していない、あるいは使えない・使う気がないユーザーがいれば、これは代替サービスとなりえる。
今回、アップルが融資額を1,000ドルまでとしたのは、金利や手数料のかからない短期少額貸付サービスによりクレジットカードとの差異化をはかるため。
米国の金融技術会社Affirm Holdings, Inc.の創業者兼CEOであるマックス・レヴチン氏は、アップルの短期貸付後払い方式の参入について以下のように語っている。
「少額の商品の支払いを数週間かけて分割払いするのは、いまやニューノーマルだ。最もパーソナライズされた支払い条件で最も幅広い取引を扱える者こそ、未来を勝ち取ることになる。そんなわけで、遅延利息を要求しないプレイヤーが増えたことを歓迎する!」
また、クレジットカードとの差異は、後払い導入における信用調査の度合いがはるかに軽いことにも見て取れる。
先述したが、今までは何らかの事情でクレジットカードが作れず、デビットカードのみの買い物しかできなかった消費者も、「後払い」という選択肢を取れるようになる。
また、利用状況については第三者(いわゆるクレジットカードなどの情報機関)との共有はしないということなので、そこもクレジットカードと一線を画しているところだ。
一方で、結局のところ「後払い=借金」という点で言えばクレジットカードとあまり差異のないものであるともいえる。
結局は、『金利がつかない借金』であるというだけのことだ。
そこに与信調査が軽いシステムが来ると、どんなに少額であろうと、場合によっては「支払い能力を超える借金」を背負いこむ羽目になりかねない。
また、クレジットカードを所持しているユーザーは、それぞれのカードごとのポイントなどの特典があるわけで、支払いの一部を「Apple Pay」に変えるというのは、そのカードのポイント以上のメリットを見いだせない限りはこの「後払い」方式を使う理由はないように思える。
1,000ドルまで、というのも、ユーザーによっては「少額すぎて、あまり後払いの価値を見出せない」かもしれない。
俺個人で言えば、楽天ポイントに価値を見出しているし、そもそもスマホがアンドロイドなので、全く手を出す必要性を感じていない。
万人向けのサービスとは言い難く、「個人的な理由がある場合は、選択肢の一つになりうるサービスでしかない」だろう。
日本に導入されるのはいつのことか?
散々「Apple Pay Later」について語ってきたわけだが、日本への導入はいつになるのか?
アップルによると、米国以外での導入は完全に未定とのこと。
金融に関連したサービスは、国によって規制が違うので一律に導入するのは難しい。
まずは米国の広まりの状況を見て、日本でも導入します!となってから考えても良いだろう。
「後払い」という単語に反応してしまったがゆえに先走った記事であったが、今回は以上だ!
最後まで読んでくれてありがとう!