画像引用元:講談社コーポレートサイト「おもしろくて、ためになる」を 世界へ (kodansha.com)
ついこの間、講談社の「ゲームの歴史」炎上についての記事を書かせてもらったばかりなのだが。
講談社様はブログのネタを大量にくださるのでありがたい。
今回の騒動は時の人、『ガーシー』こと東谷 義和氏(について書かれた本)。
彼について書かれた「悪党 潜入300日 ドバイ・ガーシー一味」について、朝日新聞社から著者と発行元である講談社に対して厳重抗議があったらしい。
いったい何があったのか。
すわ炎上か、お祭り騒ぎが大好きな俺の血が騒ぐ。
目次
騒動の概要
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事件の発端は3月28日、講談社が発行した「悪党 潜入300日 ドバイ・ガーシー一味」について、「取材情報の無断利用」などがあったとして、著者及び講談社に対して朝日新聞社が抗議を行ったことだ。
「悪党 潜入300日 ドバイ・ガーシー一味」なる本は、3月17日に講談社から発売されており、著者はドバイ在住作家にして元朝日新聞記者である伊藤 喜之氏。
書籍の内容は、つい先日参議院から除名処分となっただけでなく、国際指名手配までされてしまったガーシーこと東谷義和氏に密着取材したものらしい。
なんか、題名からして陰謀論を煮詰めて凝縮させたかのようであるが、朝日新聞が厳重抗議を行ったのは、元朝日新聞記者である伊藤 喜之氏が、朝日新聞記者として在職中に取材した内容をそのまま自著に使っているという点であり、それらの権利は朝日新聞にあり、伊藤 喜之氏は朝日新聞在職時代の守秘義務を犯している、という点である。
朝日新聞社は、「伊藤氏と講談社に対し、自主的に誠実な対応を取るよう求めています」と発表。
それらの訴えに対して、著者である伊藤喜之氏は、29日のツイッターで次のように反論している。
「朝日新聞社から抗議を受けました。取材情報の利用には正当な理由があるため、講談社と粛々対応いたします。『誠実な対応』って朝日に私が求めてたものだよ。悲しいね」
さて、講談社と伊藤氏の対応は今後どうなることやら、といった流れ。
著者の伊藤喜之氏とはどのような人物なのか?
さて、まずは著者の伊藤喜之氏とはいかなる人物なのか?
伊藤喜之氏は、1984年、東京都中野区生まれ。
早稲田大学政治経済学部卒業後、2008年に朝日新聞社に入社。
東日本大震災後には南三陸(宮城)駐在。
大阪社会部では、暴力団事件担当として指定暴力団山口組の分裂抗争などを取材する。
その後、英国留学を経て20年からドバイ支局長。
2年8月末で退職し、同9月からドバイ在住で作家活動開始。
今年3月に、初の単著である「悪党 潜入300日 ドバイ・ガーシー一味」(講談社+α新書)を出版。
大学の冠といい、経歴といい、かなり有能な人物と見た。
彼がTwitterで呟いたこのセリフ。
「『誠実な対応』って朝日に私が求めてたものだよ。悲しいね」
このあたりに、ドバイ支局長まで上り詰めて22年8月に朝日新聞社を後にした理由があるのだろうか。
「悪党 潜入300日 ドバイ・ガーシー一味」の評判
「悪党 潜入300日 ドバイ・ガーシー一味」は、現在amazonで販売中。
発売されて2週間ほどになっているが、100個もの評価がついており、☆は(4/5)を獲得。
うーむ、内容に関しては、どこぞのミリオンセラー作家(和製スティーブ・ジョブズ)が書いた「ゲームの歴史」とは違い、なかなか練られたものであるようだ。
なお、こちらの本のレビューはこんな感じ。
好評価のレビュー
読みやすい!
ガーシー周りの仲間のことが知れる唯一の本だと思います。そして、本来のガーシーが知れる一冊です。
ジャーナリストだからの視点がよかった。
ガーシーの周りの人たちの様々な生き方が描かれていて、ジャーナリスト魂で追っかけたんだなと感じます。それにガーシーのピュアなところがけっこう面白くて、悪党といえど彼の正義がかいまみれました。ガーシー劇場の今後もぜひ本にしてほしいです。
生々しい
リアリティが凄い。
記者目線だからなのか淡々と積み上げていくリアリティに惹かれていく。
そこには善悪を区別する事はない 読者に委ねる事もない だからこそリアルさが増す。
脚色があるのか無いのか分からないが 記録映像のように頭に入り込む。
ドバイという別世界から、一個人発信だけでこれだけ世間を振り回せるのは才能を超えた何がある。
それを知りたいからページをめくり続ける。
いつの間にかドバイで立ち会ってるような感覚に浸れる。
もうこのような本に出会うことはないだろう。
まさに「事実は小説より奇なり」
大変に好評である。
低評価のレビュー
なお、低評価のレビューも紹介すると、
ネット記事で十分
ほとんどネットニュースで内容は公開済みなのですが、まとまって短時間で読めます。
ガーシーサイドの言い分だけが書かれているので、ガーシーを支持する人にはおすすめできます。
ただ、被害者サイドの取材がほぼ皆無なのと、近くにいれば当然知っているはずの反社会的勢力とのかかわりなどは全く触れられておらず、ジャーナリストによるドキュメンタリーを期待する人からの批判は避けられないかと思います。
どうにも気になるのは、「ガーシーサイドの言い分だけが書かれている」「被害者サイドの取材がほぼ皆無」このあたりか。
レビューから垣間見えるこの本の問題点
ネタというのは鮮度が重要だ。
それは、注目されないブロガー(笑)である俺でもよくわかることだ。
今回伊藤喜之氏は、かなり急を要してこちらの本の出版にこぎつけたのではないか。
なので、見方によっては取材不足であり、故に朝日新聞記者時代に取材した内容を使わざるをえなかったのではないかと思う。
この件に関するYahoo!ニュースのコメントにも、
朝日との関係は知らないが、あまり「上等」の本ではないような…。著者はガーシーグループと出会ったことで、ジャーナリストとしての冷静さを失っているかのような(舞い上がったとまではいわないが…)印象がある。
と書き込まれている。
「冷静さを失っている」ではなく、新聞記者らしく「鮮度を重視、他に先んじてとにもかくにも出版に踏み切った」のではないか。経歴的にも有能な人物だし、当然のことながら文字を書いて食べている人なので、鮮度を重視していなければ被害者サイドの取材もできたと思うのだが。
この事件により、浮き彫りにされた問題
実は、この事件は本の内容よりも「ある問題を浮き彫りにしたこと」で意義がある。
Yahoo!ニュースのコメント欄に記載されている、関西大学総合情報学部 特任教授 亀松太郎氏のコメントによれば、
メディア関係者の間でも注目されているニュースです。新聞社の社員記者が会社を辞めて独立した後、社員時代に取材した情報をどこまで発信できるのか、というのは興味深いテーマです。
というのは、これまでに多くの元新聞記者たちが、新聞社に在籍中に取材した情報をもとにして、雑誌やウェブメディアで記事を書いたり、テレビでコメントしたりしてきたからです。
途中で「ゲームの歴史」(講談社)の話を少し出してしまったが、一介のブロガーである俺でも過去の記事の内容を引っ張り出してきて語ることがある(俺の場合は、ちゃかしているだけだが)
伊藤喜之氏の場合、これは仕事としてお給料をもらっていた上での記事の引用・利用であるので、確かに朝日新聞社が抗議した「権利の侵害」にあたる可能性が出てくる。
そうなると元記者である作家たちは退職後に書くものに対して、そこそこ面倒な制約を抱え込んでしまうことになるな。致し方ないことであるとは思うのだが。
この件がメディア関係者の注目を集めているという、亀松太郎氏の言い分にも頷けるというものだ。
しかし、個人的には「悪党 潜入300日 ドバイ・ガーシー一味」よりも、「講談社のやり口」のほうがちょっと興味がある。
「ゲームの歴史」のときもそうだったし今回の本もそうだが、出版元である講談社は最近まあよく世間様を騒がせてくれているな、と思う。
もしかすると、これは講談社の炎上商法なのかもしれない。
「ゲームの歴史」と違って、内容はかなりしっかりしたものである(ガーシーサイド的な内容になっている点だけには注意)ようなので、興味のある方はいかがだろうか。
本人の発言や動向だけでなく、本人に関する書籍までも問題になってしまうガーシーこと東谷 義和氏の今後に幸あらんことを祈って、今回の記事は以上としたい!
最後まで読んでくれてありがとう!!