ライジングカットとは?握り方・投げ方・実戦での活かし方を徹底解説
「ストレートのように伸び、最後に鋭く食い込む球を投げたい」――そんな願いを叶えるのがライジングカットだ。
巨人・高橋礼が新たな武器として習得に挑んでいることで注目を集めているが、その実態はまだ広く知られていない。通常のカットボールとの違いは?投げ方のコツは?本当に左打者への決め球になるのか?
この記事では、ライジングカットの基本から、握り方・投げ方、さらには実戦での使い方まで詳しく解説。
高橋礼の試行錯誤や、実際にこの球を投げる他の投手の事例も交えながら、読者がすぐに実践できる知識を提供する。ライジングカットを極めたいなら、ぜひ最後まで読んでほしい。
ライジングカットとは?通常のカットボールとどう違うのか?
ライジングカットの基本的な特徴とは?
ライジングカットは、カットボールの派生型ともいえる変化球だ。一般的なカットボールは、横方向に小さく変化するのに対し、ライジングカットは「浮き上がるように見える」軌道を描くのが特徴。
そのため、バッターの手元でホップするように変化し、特に左打者の内角に食い込むことで詰まらせる効果が期待できる。球速も通常のカットボールより速めで、ストレートと見分けがつきにくいのも強みだ。
巨人・高橋礼がこの球種の習得に取り組んでいるのは、まさにこの特徴を活かすため。次の項で、通常のカットボールやライジングファストボールと何が違うのか詳しく解説する。
カットボールやライジングファストボールとの違いは?
ライジングカットと他の球種を比較すると、以下のような違いがある。
- カットボール:横に小さく変化し、打者の芯を外す球。主に対右打者向け。
- ライジングカット:速いカットボールで、浮き上がるような軌道が特徴。左打者の内角攻めに有効。
- ライジングファストボール:回転数を多くすることで「ホップするように見える」ストレート。変化量はライジングカットより少なめ。
つまり、ライジングカットは「カットボールの変化+ライジングファストボールの球速と軌道」を兼ね備えた球種だと言える。
ライジングカットの握り方は?指の配置や力の入れ方は?
基本的な握り方と指の配置は?
ライジングカットの握り方は、カットボールとほぼ同じ。ただし、指の配置や力の入れ方で変化の質が変わる。
基本の握り方
- ストレートの握りとほぼ同じ
- 中指と人差し指を少しボールの内側に傾ける
- 親指はボールの下に添える
これにより、通常のカットボールよりも回転軸が少し斜めになり、ライジングするような軌道を生み出す。
どの指で回転をかけるべきか?
ライジングカットの変化を作るカギは「中指」だ。
- 中指を使って回転を強くかける → 縦の変化が大きくなる
- 人差し指を意識すると横の変化が強まる → カットボール寄りになる
高橋礼が求めているのは「内角に食い込む変化」なので、中指を意識することで理想の軌道に近づくはずだ。
力の入れ方や指の使い方のコツは?
力を入れすぎると腕の振りが鈍くなり、ストレートと見分けがつきやすくなるため注意が必要。
- 軽く握り、指先でリリース時に強く弾く
- 親指を締めすぎず、スムーズにリリースする
- 手首を強くこねないように注意する
次の項では、具体的な投げ方について解説する。
ライジングカットの投げ方は?変化を出すコツとは?
腕の振り方とスナップの使い方は?
ライジングカットは「ストレートと同じ腕の振りで投げる」のが基本。腕の振りが違うとバッターに読まれるため、特に意識すべきポイントだ。
- 腕の振りはストレートと同じスピードで
- 手首のスナップを適度に使い、回転をかける
- 最後までしっかり振り抜くことが重要
腕を振りすぎると横変化が大きくなり、通常のカットボールに近づいてしまう。
どのようにリリースすれば理想の変化が生まれるのか?
リリースのタイミングが重要で、ポイントは「ストレートよりやや早めにリリースすること」。
- 早めのリリースで上方向の回転を強くする
- 回転軸をストレートに近づけることで、ホップするように見せる
リリースを遅らせると横変化が強くなり、ただのカットボールになってしまう。
スピードと回転数を上げるには?
ライジングカットの威力は、ストレートと同じようなスピード感を維持しながら、適度な変化を出すことにある。
- 球速を落とさないために下半身をしっかり使う
- 回転数を上げるために中指を強く使う
- 肘を高めに使い、縦回転を意識する
次の項では、なぜ高橋礼がライジングカットを習得しようとしているのかを解説する。
巨人・高橋礼はなぜライジングカットを習得しようとしているのか?
高橋礼の現在の課題とは?
2023年シーズン、高橋礼は右打者には2割1分4厘と抑えていたが、左打者には2割6分を許していた。この「左打者対策」が彼の課題となっている。
なぜ左打者対策としてライジングカットを選んだのか?
ライジングカットは、左打者の内角に浮き上がるように変化するため、詰まらせるのに適している。
- 内角で詰まらせることでゴロや凡打を狙える
- 速い変化球なので、直球との見分けがつきにくい
「直球とは違う速い球を内角に投げたい」とはどういう意味か?
高橋礼は「ストレートを内角に投げるだけでは打たれる」と考え、変化しながら速い球を投げることで打者を混乱させる狙いがある。
ライジングカットはどんな場面で有効なのか?
左打者の内角に食い込む軌道とは?
ライジングカットの最大の特徴は「内角に鋭く食い込む軌道」。これにより、左打者は詰まりやすくなる。
- 左打者の内角高めに投げると、バットの根元に当たりやすい
- 詰まることで力のないゴロやポップフライを打たせやすい
- 速球系なので、見極めが難しく空振りも誘いやすい
特に、ストレートを待っている打者にとっては「急に食い込んでくる」ため、タイミングが狂いやすくなる。
右投手が左打者に対して使うメリットは?
右投手にとって、左打者の内角を攻めるのは容易ではない。しかし、ライジングカットなら以下のメリットがある。
- 外角のチェンジアップと組み合わせることで、的を絞らせにくい
- ストレートと変化量が少し違うため、打者の芯を外しやすい
- 内角攻めが苦手な投手でも、ストレートより制球しやすい
高橋礼のようにアンダースロー気味の投手が使えば、より独特な軌道になり打者は対応しづらくなる。
他の球種とのコンビネーションでどのように活かせるか?
ライジングカット単体でも有効だが、他の球種と組み合わせることでさらに効果的になる。
- ストレートとのコンビ:球速がほぼ同じで見分けがつきにくい
- チェンジアップとのコンビ:スピード差で緩急をつける
- ツーシームとのコンビ:外角と内角で打者を揺さぶる
このように、ライジングカットは「バッターに的を絞らせない」ための武器として有効だ。
ライジングカットを投げる投手は他にいるのか?
NPBやMLBでライジングカットを使う投手は?
現時点で「ライジングカット」という名称で公認されている球種は少ないが、実際には似た軌道のボールを投げる投手はいる。
ダルビッシュ有(パドレス)
高回転カットボールを投げることで、ライジング気味の変化を生む
ストレートとほぼ同じ腕の振りで、見極めが難しい
☆参考動画
千賀滉大(メッツ)
スプリット主体だが、カットボールも織り交ぜてバットの芯を外す
MLBのデータでは「ライジングするような変化」を記録
高橋礼が習得を目指すライジングカットは、こうした投手のボールに近い可能性がある。
似た球種との違い(カットボール・ライジングファストボール)とは?
ライジングカットと他の球種の違いを改めて整理すると、以下のようになる。
球種 | 変化の方向 | 速度 | 特徴 |
---|---|---|---|
カットボール | 横に小さく変化 | ストレートより少し遅い | バットの芯を外す |
ライジングカット | 内角に食い込む | ストレートとほぼ同じ | 左打者対策に有効 |
ライジングファストボール | わずかにホップする | ストレート | 高回転で空振りを狙う |
ライジングカットを習得するための練習方法とは?
高橋礼の試行錯誤とは?(「使えるかもしれない」「めっちゃひどいかもしれない」)
高橋礼は、ライジングカットの習得について「使えるかもしれないし、めっちゃひどいかもしれない」と語っている。これは、まだ試行錯誤の段階にあることを示している。
2024年の春季キャンプで初めて実戦投入。
対左打者での有効性を確認中。
軌道や回転の調整を繰り返しながら完成度を高めている。
実戦での使用を重ねることで、少しずつ精度を上げていく段階だ。
実際にライジングカットを投げるためのトレーニングは?
ライジングカットを投げるためには、特定のトレーニングが効果的だ。
ボールの回転を安定させるための指先トレーニング
- 硬式ボールを使った指の筋力強化
- 指先の感覚を養うためのスピン練習
- ストレートとのリリースポイントを合わせる投球練習
- キャッチボール時にストレートと同じフォームで投げる
- 徐々にカット回転を加えながら、変化を調整
球速や精度を上げるための反復練習のポイントは?
ライジングカットの精度を上げるには、単純な投げ込みだけでは不十分。以下の点を意識する必要がある。
回転数を増やすためのトレーニング
- 高回転を意識したスピン練習
- ボールの縫い目を使った指のかけ方の調整
- コントロールを向上させるためのターゲット投球
- ストライクゾーンの内角高めを狙うピッチング
- 実戦形式での試投を繰り返す
☆さらに参考動画
まとめ
ライジングカットは、通常のカットボールとは異なり「浮き上がるように見える軌道」を持つ特殊な変化球です。特に左打者の内角に食い込む軌道が特徴で、詰まらせる効果が期待できます。
握り方のポイント
- ストレートと似た握り方をベースに、中指を意識して回転をかける
- 親指の位置を調整し、適度な力加減でリリースする
- 投げ方と変化を出すコツ
- ストレートと同じ腕の振りを意識しながら、スナップを活かす
- 早めのリリースで縦回転を強調し、食い込む軌道を作る
実戦での活用方法
- 左打者の内角攻めに有効で、打者を詰まらせやすい
- チェンジアップやツーシームと組み合わせると、より効果的
高橋礼の挑戦
- 左打者への被打率改善を目的に、ライジングカットの習得に挑戦中
- 実戦で使いながら調整を重ねている
ライジングカットを習得するには、回転の安定化やフォームの最適化が鍵になります。高橋礼の今後の投球にも注目しながら、自分の投球スタイルに取り入れてみるのも面白いでしょう。