森山裕、宮崎県大会での発言で炎上!コメ高騰原因はそこじゃない!!
自民党の森山裕幹事長が、宮崎県の県連大会の挨拶でこう言ったらしい。
「お米を引き続き作っていこうと思っていただけるためには、再生産ができる価格でお米が売買をされるということが大事なことなのだと思います」
いやぁ、それは違うだろう。
森山は現在のコメ価格高騰を必要悪として見させようとしているが、価格高騰の原因をズレたところに誘導している。正直、かなり悪質だ。
コメ価格高騰の6つの原因
コメ価格が高騰している原因として、もっぱら言われているのは以下の通り。
- 供給サイドの目減りと統計ミス
猛暑で白濁米が激増し一等米率が落下。作況指数101の“平年並み”判定が需給ひっ迫を隠し、政府の放出判断を遅らせた。結果、端境期(24年10月)時点で40万トン不足が既に確定していた。 - 原価爆上がり――肥料・燃料・物流費
ウクライナ情勢と円安で肥料価格指数は1.5倍、ドライバー2024年問題で輸送費も上昇。農家は「売値=コスト+α」を死守せざるを得ず、卸・小売もマージン維持で価格転嫁。 - JAの“握り”――集荷9割の価格コントロール
備蓄米21万トンの9割をJA全農が落札。4月半ば時点で店頭に届いたのは1.4%のみ。さらに民間在庫は前年比▲40万トン。要は「入れる量より抜く量のほうが多い」状態をJAが継続。 - 減反+買戻し特約=“下がらない”仕掛け
備蓄米には1年後の買戻し義務が付く。JAは来年2.1万円以上で再販売しないと損を抱えるため、市場価格を押し下げるインセンティブがゼロ。 - 投機・買い占めとSNS拡散
相対価格より高いスポット市場(4–5万円)が立ち上がり、家庭用・業務用とも買い急ぎ。SNSの“米消えた”動画がバズり、需要の前倒し→さらに在庫減→値上がりのスパイラル。 - Norinchukin(農林中金)の米国債ショック
JA系の“銀行”が米国債の金利上昇で1.8兆円赤字。内部では「農産物で稼げ」の空気が強まる。 JA全農が利幅を確保→コメを“安売りしない”誘因。
JAが“米価高騰の元凶”と叩かれる10の論点
怨嗟の声はJAへ。JAが元凶と叫ばれている10の論点は以下の通り。
- 集荷シェア9割で蛇口を握る
日本の主食米はほぼ10袋中9袋がJA経由。だれがいつ市場に流すか――蛇口をひねるのは全農。量を絞れば当然、値札は上がる。 - 備蓄米をごっそり落札して“牛歩”出荷
政府が放出した備蓄米21万トンの9割を全農が落札。ところが1か月後に店に届いたのは1%台。市場が乾いたままなら値は下がらない。 - “買い戻し特約”で下値2.1万円を死守
落札した備蓄米は1年後に同じ価格以上で国に売り返す契約付き。全農は2.1万円/60kgを割ると丸損になるから、必死に守る――価格のフロアができあがる。 - 無条件委託販売で農家の“売り急ぎ”を封印
農家は収穫後の米をまるごとJAに預け、売値もタイミングもお任せ。個人プレーが封じられ、安売り競争が起きない。 - 共同計算システムで品質差をならし高値維持
一等米も二等米も混ぜて平均単価で精算。「うまい米を安く売ってでも現金化」は不可能。やはり値は落ちにくい。 - 減反補助金5000億円――税金で“作らない報酬”
作付けを控えた農家に年5千億円が配られる。供給を絞る資金を国が出している構図で、米価は上がって当然。 - 堂島米先物をボイコットし“価格の物差し”を奪う
世界最古の米先物市場を本上場させず、指数取引だけに限定。透明な価格シグナルが弱まり、密室の相対取引が続く。 - 概算金つり上げで“高いならJA”を固定
新潟の例では2.3万円/60kgを前払い保証。後で相場が下がるとJAが損を被るため、最初から下がらないよう供給を絞る。 - 農林中金▲1.8兆円赤字→利幅確保が至上命題
グループの大黒柱が巨額損失。販売手数料(価格連動)を厚く取り、キャッシュを稼ぎたい心理が働く。 - 資材・農機の“JAマージン”で生産コストも高止まり
肥料や農機はJA系購買ルートが8割。米国の2倍とも言われる高価格が原価を押し上げ、最終的に米袋の値札に跳ね返る。
しかしJAがなくなったら
元凶はJAだ!って叫ぶのは簡単なんだが…。ところでJAがなくなったら、どうなるんだろう。
- 乾燥・貯蔵インフラが一瞬で詰まる
全国1,100超のカントリーエレベーター(JA所有)に替わる倉庫がない。収穫期に籾が行き場を失い、品質劣化とカビが一気に拡大。 - 無利子の前払い資金(概算金)が消える
秋にまとまる現金をJAバンクが肩代わりしている。民間ローンに置き換わると金利+保証料で農家の手取りダウン→作付け意欲も減。 - 検査・精米ラインが止まる
等級判定から精米工程までワンストップ運営しているのもJA。機械と検査員を一から集め直す間、出荷が滞り店頭が空っぽに。 - 物流コストが跳ね上がる
JAの共同配送がなくなると10kgあたり+450~700円は上乗せ必至。5kg袋で見ても店頭価格+300円は避けられない。 - 市場価格が“高いまま乱高下”
JA相対価格という物差しが外れると、スポット市場が主戦場に。週ごとに数百円上下するジェットコースター相場へ。 - 小規模農家が連鎖撤退
集荷ルートと資金繰りの両方を失い、体力のない兼業農家から脱落。供給量そのものが目減りし、結局コメはもっと高くなる。 - 地方経済が真空地帯化
JA共済・信用事業の撤退で、地域金融と雇用がごっそり蒸発。農村部は資金も仕事も枯れ、若手の担い手が定着しなくなる。 - 「銘柄」と「地産地消」が薄まる
県産直販や商社ブレンドが主流になり、産地表示は“混米”だらけ。味とブランドの差がぼやけ、消費者は“どこでも同じ米”を高値で買うはめに。
どうも、JAをぶっ潰せばすべてが解決する!ってわけでもなさそうだ。
小泉進次郎は役に立つのか?
ここにきて、農林水産大臣に小泉進次郎が出てきた。
さー、小泉進次郎、果たして役に立つのやら。
就任早々に備蓄米の“随意契約”へ舵を切り、JA全農の牙城に正面から突っ込んだ進次郎。2016年に農協改革を仕掛けた頃と同じく、スピードは抜群だ。
韓国産肥料の輸入促進、販売手数料の公開──既得権にメスを入れる姿勢は筋が通っている。NHK生出演で自ら「コメ担当大臣」と名乗ったブランディングも若年層には刺さり、20代支持率は1か月で+12ポイント。だが、肝心の米価は前年比23%高で高止まり。JA幹部からは「拙速が市場を混乱させた」と反発され、農林族23名が補正予算で反対票を突き付けた。
追い打ちは“進次郎構文”──過去の「気候変動はセクシーに」発言が再燃し、ネット調査では37%が「言動に不安」と回答。信用リスクは相変わらず高い。国際舞台でも、OECDがGDP比1.2%の農業補助金を「過剰」と名指し。進次郎はEU型の直接支払いを提案したが、財源は白紙。
今後の鬼門は二つ。第一に、JA全農にいがたが掲げた概算金2.3万円/60kgが市場価格と乖離すれば、財政赤字の火薬庫になる。第二に、2026年度までに掲げた減反政策の全面廃止。調整弁が消えれば、豊作年に暴落・不作年に暴騰――価格乱高下のリスクが跳ね上がる。デジタル需要予測システムの導入と言うが、予算措置は未定。
結局のところ、進次郎は“壊す速度”では歴代随一。ただ、壊した後の再設計図が薄いままでは、支持率の電池が切れる前に改革が立ち枯れる。迅速な改革と制度設計の脆さが裏表で走る──それが現時点の「コメ担当大臣」像だ。
とにかくコメの価格を下げて欲しい
JAが悪いとか、進次郎がどうだとか、そんなことはどーでもいい。
とにかくコメの価格を下げてくれんかね。
しかし、ここまでやってきた日本の農業は構造的な欠陥を抱えている。病巣を全て取り除くのは簡単だが、やっかいなことに癌細胞は正常な細胞と一緒に機能している様子。
さーて、どうするのか。そしてどれだけ時間がかかるのか。
なんでもいいから、はよ下げろ。←だからそれが無理なんだって💦
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