ドミノ・ピザ、日本で172店舗閉鎖へ──急拡大の裏に潜む落とし穴とは?
コロナ禍で急成長を遂げたドミノ・ピザが、2025年内に日本国内の約2割にあたる172店舗を閉鎖する。
かつて「業界最速のデリバリー」を掲げ、次々と店舗を増やしてきたが、一体何が起こったのか?
店舗拡大の成功と失敗の狭間で、何が誤算だったのか。
この記事では、ドミノ・ピザの店舗閉鎖の背景や、不採算店舗が増えた理由、経営戦略の見直しによる今後の方針を詳しく解説。
また、閉鎖による従業員や利用者への影響、ピザーラやピザハットとの違い、株価や投資家の反応まで深掘りする。
ドミノ・ピザの「急拡大の末路」とは何だったのか──その全貌を見ていこう。
ドミノ・ピザはなぜ日本で172店舗を閉鎖するのか?
ドミノ・ピザ・エンタープライゼス(DPE)は、日本国内の約2割にあたる172店舗の閉鎖を決定した。急成長を遂げた同社が、なぜこのタイミングで大規模なリストラを実施するのか。その背景を詳しく見ていこう。
不採算店舗が増えた理由とは?
最大の要因は「採算が取れない店舗の増加」だ。ドミノ・ピザは2020年から2023年にかけて日本国内で約400店舗を新規出店した。
しかし、コロナ禍で拡大した宅配需要が落ち着き、売上が伸び悩んだ店舗が続出。
その結果、不採算店舗が急増した。
また、以下のような要素も関係している。
- 過密出店によるカニバリゼーション(共食い)
近隣店舗同士で顧客を奪い合い、全体の売上が分散。特に都市部では過剰な店舗展開が裏目に出た。 - 宅配ピザ市場の競争激化
ピザーラやピザハットに加え、ウーバーイーツや出前館を利用する個人飲食店も増えた。選択肢が広がる中で、ドミノのシェアはじわじわと縮小。 - 割引戦略の限界
「Mサイズ3枚で2400円」などの大幅割引キャンペーンを頻繁に実施。短期的には売上が伸びたが、利益率が低下し、経営を圧迫した。 - 円安に伴うコスト高
インフレの煽りを受けてしまったのはドミノ・ピザも同じ
経営戦略の見直しで何が変わるのか?
ドミノ・ピザは今後、「質の向上」と「持続可能な成長」 を重視する方針を打ち出している。
具体的には、以下の点が変更される。
- 採算の合わない店舗を閉鎖し、収益性の高い店舗に集中投資
- 値下げ競争からの脱却し、プレミアム感のある商品展開
- デリバリーだけでなく、テイクアウト需要の強化
過去の「安さで勝負する」戦略から、「ブランド価値を高める」方向へ舵を切る形となる。
閉鎖される店舗はどこ?対象の地域やリストは?
現時点で、具体的な閉鎖店舗のリストは公表されていない。ただし、これまでの傾向から、地方都市や競争が激しいエリアの不採算店舗 が閉鎖の対象になる可能性が高い。
特に影響を受けると考えられるのは、以下のような地域だ。
- 都心部の過密エリア(東京・大阪・名古屋など)
- 人口減少が進む地方都市(東北・北陸・四国エリアなど)
- 売上の伸び悩んでいるロードサイド店舗
今後、公式発表があり次第、対象リストが明らかになるだろう。
店舗閉鎖で従業員の雇用や他店舗の営業に影響はあるのか?
今回の閉鎖により、多くのアルバイト・正社員が影響を受けることは避けられない。
とはいえ、ドミノ・ピザは人員整理ではなく、他店舗への配置転換を優先する方針を示している。
また、閉鎖店舗の顧客は最寄りの別店舗へ誘導される可能性が高く、デリバリー範囲の再編が行われるとみられる。
ドミノ・ピザの急拡大はなぜ失敗したのか?過去の戦略と問題点
ドミノ・ピザはコロナ禍での急成長を背景に、3年で約400店舗を新規出店した。
だが、この「攻めの戦略」は、以下の点で裏目に出た。
- 市場の変化を見誤った
コロナ禍の特需が落ち着いた後も、同じ勢いで店舗展開を続けた結果、供給過多に。 - 出店エリアの選定ミス
都心部だけでなく、需要が不透明な地方都市にも積極的に進出。だが、思うように売上が伸びなかった。 - 割引戦略の限界
値引き合戦の影響で、客単価が下がり、利益率が悪化。持続的な成長が難しくなった。
今後のドミノ・ピザの方針は?価格や出店計画はどう変わる?
今後、ドミノ・ピザは**「利益率の向上」と「ブランドの再構築」** に注力する見込みだ。
- 採算の合わない店舗の整理(効率的な店舗運営へ)
- 値下げ戦略の見直し(割引よりも質の向上を重視)
- テイクアウト強化(デリバリー依存からの脱却)
出店ペースも大幅に落とし、収益性を重視した店舗運営へと転換していく。
ピザーラ・ピザハットと比べて経営状況はどう違うのか?
競合2社との比較をすると、ドミノ・ピザは以下の点で差がある。
- ピザーラ:ブランド力が強く、高価格帯でも安定
- ピザハット:ドミノよりも慎重な店舗展開でリスク回避
- ドミノ・ピザ:出店ペースが早すぎ、短期的な成長に依存
この違いが、今回の事態を招いた要因のひとつだろう。
利用者に影響はある?宅配サービスやクーポンはどうなる?
- 閉鎖店舗のエリアではデリバリー範囲が縮小する可能性あり
- 今後、大幅な割引クーポンの頻度が減る可能性が高い
- 新しい商品展開やテイクアウトの強化が進む可能性
クーポンに関しては「値引きからプレミアム感のある特典へ」シフトする可能性も考えられる。
親会社DPEの株価はどうなる?投資家の反応は?
親会社ドミノ・ピザ・エンタープライゼス(DPE)は、オーストラリアの株式市場に上場している。
今回の閉鎖発表後、株価は一時的に上昇。投資家の間では、「リストラによる収益改善」 への期待が高まっている。
とはいえ、今後の業績次第では再び下落するリスクもあるため、慎重な動向が求められるだろう。
まとめ
ドミノ・ピザが日本国内で172店舗を閉鎖する背景には、急速な拡大戦略が生んだ歪みがある。
ここまでの内容を整理すると、以下のポイントが浮かび上がる。
- 不採算店舗の増加:コロナ禍の宅配需要に合わせて出店を加速したが、需要が落ち着くと共食い状態に。割引戦略の弊害も大きかった。
- 経営戦略の見直し:値下げ競争からの脱却を図り、ブランド価値向上へシフト。採算の取れない店舗を整理し、収益性の高い店舗へ投資する方針。
- 閉鎖店舗の影響:従業員の配置転換を進めるが、一部は雇用不安も。デリバリー範囲の変更で利用者への影響も懸念される。
- 競合との差:ピザーラやピザハットは慎重な店舗展開でリスクを分散。ドミノ・ピザは拡大路線が裏目に出た形。
- 今後の見通し:テイクアウト強化や新しい価格戦略への移行が予想され、親会社DPEの株価も市場の動向を左右しそうだ。
今後の展開次第で、ドミノ・ピザの経営は再び安定するのか、それともさらなる変革が求められるのか。引き続き動向を注視したい。