調査会社のMMD研究所(スマートフォン、タブレットを中心とした消費者動向や市場調査を無料で公開する日本最大のモバイル専門のマーケティングリサーチ機関)の調べによると、
これだけ様々な新料金プランが発表され、業界全体が揺らいでいる状況にあって、「6割以上のスマホユーザーは乗り換えや料金プランの変更を検討していない」らしい。
ニュースサイトではこれを驚きのデータとして紹介しているが、この記事を読んだ時、正直俺はあんまり意外だと思わなかったんだな。
様々なサイトで、こちらがお得!とか、こうすると料金が下がる!とかやっていたけど(かくいうこのブログもそのうちの一つなんだが)、外野から眺めている人たちからしてみれば、正直「煩わしい」とさえ感じたのではないか。
今回は、楽天ゴールドカードや楽天でんきなどのSPU(スーパーポイントアッププログラム)改悪なんかも参考にして、スイッチングコストの観点から、この新料金の波が大多数のユーザーに大きな影響を与えていない理由を考察してみる。
新料金プランがユーザーの心に響かない理由
オンラインでの契約に不安を感じる?
どこのニュースサイトでも、ユーザーの声を聞いたうえで、この原因を「オンラインのみの契約に不安を感じる人が多いからだ」と分析していた。
ご存知の通り、「ahamo」「povo」「linemo」は全てオンラインでのみの契約・対応になる。
総務省の官製の値下げにより、3大キャリアは余分な人件費やら何やらとコストを削る必要があった。それゆえのオンラインのみ対応であったのだが、そこに不安を感じるユーザーが多かったのか。
しかし、本当にそうか?
確かにユーザーの声を聞いたうえでの見解ということで、これもあるのだと思うのだが、正直俺はそうではないのではないかと思っている。
単純に乗り換えが面倒くさい?
正直言うと、俺はこれが結構あるんじゃないかと思っている。
俺自身の経験から、なんとなくこう思う人たちの気持ちがわかるような気がするのだ。
俺のことを知らない人が多いと思うので、ここで簡単に紹介すると、俺は「スマホなどに全く興味がなかったおっさん」である。
まずはauのガラケーから始まって、端末の利用期限が切れるまで淡々と使い続けた。
それが終わると、今度はガラホ。
2021年の2月にGalaxy Note10+に替えるまで、延々とそれを使い続けていた。
俺がキャリアショップに行って店員に告げる言葉は、ただ一つだけ。
「とりあえず通話できればいいんで。何もいらないから、一番安いのでよろしく」
そのあとiPac mini3に興味を持って、そちらを使い始めた。
月々の費用は、iPadのみで約6,000円。ガラホも合わせると、月々の通信費用が8,000円超。
やがてガラホもiPadmini3も性能的に見劣りするようになり、コスパの良い利用状況とは言えなくなった。
そこでさっさと乗り換えるなり契約を変更すればよかったのに、延々と4年以上もその状況が続いていたのである(さすがにアホだと後で気づいたが)。
それが今回の新料金プランを見て、
「高すぎる!!!!」
になったわけである。
俺はこれを浦島太郎が竜宮城で目覚めた状況、と表現した。
俺は竜宮城のほかに面白そうな世界があるな、と感じたわけだが、その世界を面白いと思えない人たちにしてみれば、多少得しようが損しようが、俺の言っていた「とりあえず、通話できればいいんで」的な心理に流されてしまっても全然おかしくないと思っている。
スイッチングコストが大きい
実は、これは上記の面倒くさいっていうのとほんのちょっぴり被るのだが、携帯の料金値下げよりもスイッチングコストの方が大きかった、ってこともある。
俺はこれが一番大きな原因なのではないかと思っている。
スッチングコストってのは、名前の通り、
「ある商品・サービスから他のブランドに乗り換える際の金銭的・心理的障壁のことをいう」
つまりは、一回消費者を自分のサービスに引き込んでしまえば、よほどの理由がない限り企業は顧客を失うことがなくなる、という性質である。
これら、改悪と呼ばれた楽天ゴールドカードや楽天でんき、あとは今年2月のネットフリックスの値上げなどにも当てはまる。
現在使っているサービスが多少改悪されたとしても、よほどの理由がない限り顧客は動かない。
実際にNetflixなどは2021年2月5日に料金を12%ほども値上げしたわけだが、流出したユーザーは0.21%に過ぎなかった。
これは値上げだけでなく、値下げの際にも影響を与える考え方がと思われる。
要は、「面倒くさい(乗り替えの手間が、コストの削減分を上回っている)」のである。
俺自身が新料金について抱いていた違和感
ネット上の書き込みなどを見ていると、〇〇のほうが料金がちょっと安い!サービスが良い!とかなると、「今まで使っていましたけど、乗り換えました!」的なコメントがよくある。
あれを見ると、ユーザーってばんばん動いているイメージがあるけど、正直俺は「本当か??」って思ってしまう。
例えば月数百円とかの差で乗り換えとか面倒な手間をみんながみんなするかっていうと、絶対にそれはないと思う。
よく成功本などで、「まずは行動しないと!」って書いてあるけど、成功したいと思ってそれを読んでいる人でさえ、即座に行動に結びつく人ってあんまりいないもんだ。
下記はエンタメから学ぶで出した参考記事。
どんなにお得です!って言われても、人はなかなか重い尻をあげることがない。
そんなことない!って意見は当然あると思う。
特に行動的な人にしてみれば、こいつは何を言っているんだ、と思われるかもしれない。
でも、俺自身が行動的でない人間であったので(今はこうして記事を書いているが)、スイッチングコストが高い人たちの気持ちがわかるように思うのである。
それにね。
わかりやすいシンプルなプランだよ!って、今回の新料金値下げはうたっているけれど、それは実は嘘だと思う。
家族割がどうだの、これが変更になったのだの細かい点もあるけど、そうじゃないんだ。
3大キャリアですら3つの特長を把握しないといけないうえに、それに追随する格安SIMの多さを見て欲しい。
あんまり興味がない人間が、大量の格安SIMを見比べてお得なサービスを探そうなんて考えるものだろうか。
ぶっちゃけ、俺も格安SIMを究めるシリーズを第7弾で(一応、昨日第8弾出したが)終わらせてしまった。
だって、だって、だって。
つまんねーんだもん_(:3」∠)_
今後の展開
今後考えうる展開としては、少しずつそういった格安のプランへの移行が進んでいくと思われる。
要は、乗り換えではなくて、新規契約といった形で住みわけがなされていくのだと思う。
スマホを新調しようというときには、スイッチングコストが働かない。
どうせ新調するのだから良い物を選ぼう、ってことになる。
なので、この官製値下げの効果はじっくりと進むものなのだ。
今回の6割がそのまま、という事実は驚くに値しない。
結局のところ、時間はかかっても、少しずつ業界は変化していく。
で、この記事を書きながら、改悪された楽天ゴールドカードをノーマルなカードに未だに切り替えていない自分自身に気が付いた。
詳細は下の記事を見てもらいたいが、俺、ついこの間ゴールドカードに替えたばかりだったんだよ~(; ・`д・´)
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参考楽天ゴールドカード改悪。個人的には極悪。対処法を考えてみる。
支払い先にクレジットカードの情報変更届をしまくって、ようやく終わったと思った瞬間の改悪。
ノーマルカードに戻して、また支払先に情報変更届を出していかないといけない。
俺のスイッチングコストは、とてつもなくでかい。
めんどくせー(;´Д`)
ということで、今回は以上だ。
あくまでおっさんの分析だが、そこそこ当たっているんじゃないかと思っている。
そうじゃない!と思う方は、コメントでもいただけると嬉しい。
というわけで、最後まで読んでくれてありがとう!!