やっぱり来たね。格安SIMの接続料値下げ。
13日、NTTドコモをはじめとした3大キャリアが、接続料値下げを総務省に届け出たことがわかった。
2019年比で55.7%も安くするらしい。
これは総務省が掲げていた「2022年度までに接続料を半額にする」という目標に相当するものであり、1年早く目標を達成できたということになる。
その存続を危ぶまれていた格安SIM会社。これでなんとか生き延びられるのか?
今回から3回に分けて、格安SIM会社の「過去」と「現状」と「今後」について改めて考察してみたい。
格安SIM会社を利用している人はもちろんのこと、これから格安SIM会社を利用してみたい人とか、今後格安SIM会社がどうなるか気になる人に向けて、この記事を作成したい。
今回は格安SIMの「過去」、格安SIMの誕生についてお話する。
目次
改めて、格安SIMとは
今更ではあるが、格安SIMとは「独自の回線を持たない」通信事業者のことである(携帯・スマホの通信をサービスしている会社)。
通信事業者と言えば、3大キャリア(NTTドコモ、au by KDDI、ソフトバンク)が有名だが、格安SIMはそれらとは別に通信サービスを提供している。
格安SIMは、3大キャリアとは違って独自の回線を持たない。
3大キャリアの回線を借りることで、通信サービスを行っている。
回線を維持するための設備投資費がかからないので、名前の通り格安で通信サービスを行うことが可能となるのだが、回線を借りる見返りに「接続料」と呼ばれる代金を3大キャリアに対して支払っている。
この「接続料」が格安SIMの経費の大半を占めているのだが、今回これが55.7%も値下げされることになったのだ。
なぜ、値下げされることになったのか
全ては「通信業界に吹き荒れた新料金プランの波」が原因である。
3大キャリアの寡占状態にあった通信業界を刷新するため、総務省は3大キャリアに通信料金の値下げを要求した。
3大キャリアはそれに応えて、ドコモの「ahamo」、auの「povo」、ソフトバンクの「LINEMO」などの格安サービスを提供するに至った。
ところが、3大キャリアが格安サービスを始めてしまったら、価格が安いことが取り柄だった格安SIMの行き場がなくなってしまう。
繋がりやすさ、いわゆる回線の強さでは圧倒的に3大キャリアのほうが有利だ(自分の専用の回線を持っているのだから、当たり前)
格安SIMにできることは、さらに価格を下げて「格安」であることをアピールするしかなかったわけだが、それには経費の大部分を占める「接続料」の値下げが必須だった。
今回の接続料値下げにより、格安SIMは首の皮1枚つながったことになる。
格安SIMはいつ誕生したのか?
今回は格安SIMの「過去」ということで、その誕生についてお話したい。
新規MNO参入を促すも失敗
全ての始まりは、2004年。
総務省は、当時から通信業界の競争促進を図っており、携帯電話向けに1,7GHz帯と2GHz帯の周波数を割り当て、新規MNO(キャリア)の参入を促した。
それに応えて1.7MHZ帯では「イー・モバイル」と「BBモバイル(当時はソフトバンクの子会社だった)」が、2GHz帯では「アイビー・モバイル」が新規MNO(キャリア)として参入した。
ところがたった数年で「BBモバイル」と「アイビー・モバイル」は撤退を決定。
「イー・モバイル」もソフトバンクに吸収合併されてしまう。
基地局の整備をはじめとしてあまりにも莫大な費用がかかる新規MNO参入。その難しさが、これら一連の流れにより露呈することになった。
MNOではなくて、MVNOを後押し
新規MNO誕生の難しさを知った総務省は、回線などを持たなくとも参入できるMVNOを後押しするようになる。
そして、2008年。
「日本通信」がNTTドコモの回線を借りて、サービスを開始。
これを皮切りとして通信事業者の数は大きく増えて、2020年には1428社となる。
3大キャリアもこの流れに対応するように、ドコモはY!mobileを、auはUQmobileをサブランドとして立ち上げ、MVNOに対抗するようになる。
結局は変わらない寡占状態
こうしてMVNOを多数生み出したは良いものの、競争が促進されたかというと「否」と言わざるを得ない。
なぜなら、結局のところ「接続料」という名目で、格安SIM(MVNO)の売り上げの大半は3大キャリアのものとなるからだ。
寡占状態は変わらなかったが、MVNOの存在は、消費者に「3大キャリア以外の選択肢」を提供することになった。
それでも納得しない総務省は、業界を大きく揺らすため、携帯料金の値下げをキャリアに強要するに至る。
第4のキャリア「楽天モバイル」参入
総務省の携帯料金値下げを受けて、揺れる通信業界。
ドコモやauはサブブランドであるY!mobileやUQmobileの料金を下げることで対抗しようとする。
しかし、「キャリア」が値下げしないと意味がないことを告げる総務省。
動揺するキャリアの脇から、4番目のキャリアとして「楽天モバイル」が市場参入する。
総務省待望の、新規MNOが再び生まれたことになる。
しかもこの「楽天モバイル」がとてつもなく安価なサービス「Rakuten UN-LIMIT」を発表する。
これら一連の流れを受けて、3大キャリアもついに値下げを発表。
冒頭の話、「現在」へとつながることになる。
長くなってしまうので、今回は格安SIMの「過去」をお話した。続きはまた次回。
最後まで読んでくれてありがとう!!