「3大キャリアが総務省に、格安SIMへの接続料値下げを発表した!」
というところから、前回は、格安SIM誕生の背景までお話した。
今回は、格安SIM(MVNO)にも色々と種類があるんだよ、ってことで、「現在」の話をしたい。
目次
格安SIM(MVNO)には2種類ある
レイヤー2接続とレイヤー3接続
格安SIM(MVNO)がキャリア(MNO)と回線を結ぶ場合、レイヤー2接続とレイヤー3接続がある。
- レイヤー2接続 中継パケット交換機を自ら所有する。
- レイヤー3接続 中継パケット交換機を所有しない。
中継パケット交換機は、IPアドレスの発行、IPアドレスの認証、セッションの管理などを行う装置だ。
IPアドレスっていうのは、スマホやPCなどのネットにつながる通信機器がそれぞれ持っている個別の番号。まあ例えていうなら、「住所」みたいなもんだ。
セッションというのは、サイトやブログを訪問してそのサイト内でアクションを(買い物など、様々な行為を)して、サイトを閉じるまでの一連の流れをいう。
レイヤー2接続の格安SIM(MVNO)は、消費者のスマホにIPアドレスを発行してネット上でのサービスが受けられるようにできる。
言い換えると、「レイヤー2接続のMVNOでないと、通信サービスを提供できない」ということになる。
当然のことながら、格安SIMの大多数が、レイヤー2接続でサービスを提供して料金を取っているのが現状だ。
一次MVNOと二次MVNO
同時に、MVNOには一次MVNOと二次MVNOの2種類がある。
一次MVNOはキャリア(MNO)から直接回線を借りてサービスを提供してる。
「他人のフンドシを借りて相撲を取っている状況」だ、
これに対して、二次MVNOは一時MVNOからさらに回線を借りている状態。
「他人のフンドシを又借りして相撲を取っている状況」だ。
二次NVNOMのことをMVNEと読んだりする。
単純に格安SIM(MVNO)といっても、実はしっかりランク分けされているんだな。
フルMVNOとは何か
上記のように、実はランク分けされている格安SIM会社(MVNO)。
彼らは日夜厳しい生き残り競争を行っている。
とはいっても、彼らは立場的には同じだ。
格安SIM(MVNO)である以上、結局キャリア(MNO)から回線を借りないと事業が成り立たないので、格安SIM(MVNO)同士での差というのを発生させるのはなかなか難しい。
なんとか差を発生させて有利に立つため、MVNOのなかには自らSIMカードを発行するようなところが出てきた。
SIMカードというのは、スマホなどに差し込まれる超小型のカード。
ピンクのRが、楽天のSIMカードだ。
これがないと、その会社のサービス(回線)を利用することができない。言ってみれば、SIMカードとは「スマホと回線をつなげる割符」みたいな存在なんだな。
従来なら、MVNOは、はMNOから提供されたSIMカードを使っていた。
これを独自に発行することで、他社との差を出そうとしたわけだ。
なお、MNOから配布されているのとは別に、独自のSIMカードを発行するためには「HLR/HSS」(加入者管理機能)を保有する必要が出てくる。
「HLR/HSS」は、ID番号(携帯電話番号、SIMカードのシリアル番号)や通信を暗号化するための機能だ。まあ、SIMカードを管理できる機能と思っても良いのではないか。
これを保有することが独自のSIMカードを発行する条件となっており、つまり『SIMカードの機能・サービスをちゃんと提供できる会社でないと、SIMカード発行は認められませんよ』と、そういうわけだ。
このように、SIMカードを自ら発行できるようになると、晴れて『フルMVNO』の名称が手に入る。
IIJmioを提供している、IIjなどはこのフルMVNOの代表的な例である。
なお、この『フルMVNO』と比較するため、キャリアから発行されているSIMカードをそのまま使っている事業者を、『ライトMVNO』と呼んだりする。
SIMカードを発行できる利点
上述した通り、フルMVNOとはSIMカードを独自に発行することができる格安SIM会社(MVNO)のことを言う。
SIMカードを独自に発行できると、どんな利点があるのか。
例えば、SIMカードを自ら管理しているので、そのスマホがどこにあるのかなどの位置情報を取得できる。
たまに、スマホをやっていると聞かれるよな。
「位置情報を提供しますか?」みたいなやつ。
あれでユーザーが位置情報を提供すると、その周辺にあるものなんかが検索で出てきやすくなるわけだが、ああいいった位置情報をつかったサービスをMVNOが提供できるようになるわけだ。
他にも、海外のキャリアと提携して、外国でのサービスを提供することもできるようになる。
あとは、最近ようやく広まりつつある「eSIM」の発行。あれも可能となる。
「eSIM」とはカードではなくて、スマホのなかにSIMが内臓されている状態だ。
「eSIM」になると、いちいちサービスを受ける際に、事業者が発行するSIMカードを到着するのを待つ必要がない。
そのまま内臓されているSIMカードの情報を書き換えて、最短時間でサービスの切り替えができるようになる。
通信業界のサービス流動性を高めるもので、今後はこれを搭載したスマホがもっともっとたくさん登場するものと思われる。
格安SIM会社の「現在」
上記のように、格安SIM会社(MVNO)といっても、色々ある。
どの格安SIM会社も、より安い料金でなるべく良いサービスを提供するべく頑張っているわけだ。
色とりどりの格安SIM会社。そしてそれを襲う「通信業界新料金プランの波」。
次回は、格安SIM会社が今後どうなってしまうのか、と予想を含めてお話したいと思う。
ということで、今回は以上だ。最後まで読んでくれてありがとう!!