2021年3月26日の東洋経済オンラインのニュースにおいて、ドコモが「ahamoを利用して、その実より高額なギガホに客を誘導している」といった内容の記事が出た。
これは、景品表示法違反にあたる可能性が出てくる。
景品表示法違反の、
- おとり広告
- 有利誤認…実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの
- 優良誤認…実際のものよりも著しく優良であると示すもの
にあたる行為ではないかと言われているわけだ。
この記事ではこれらの行為に対するネット上の反応と、俺なりにこの出来事をどう思っているか、今後消費者はどうしないといけないかを語りたいと思う。
目次
「アハモフック」の罠
ドコモの今回の手口は、「アハモフック」と呼ばれているらしい。
まずはドコモショップではなくて、代理店が出張販売でお客さんを呼び寄せる。
出張販売ってのは、スーパーとかの一画にドコモのコーナーを月数回設けて、新規顧客を狙うやり方だ。
ってか、ドコモショップってお客さん、みんなドコモの会員なんだよね。
スーパーに来るお客さんなら、他の通信事業者を利用している人もいれば、スマホに疎い人や、高齢者などもいる。
「ahamo」を餌に使って、彼らに声をかけるわけだ。
話し合いに応じてくれれば、そこから言葉巧みに「ahamo」より高額な「ギガホ」のサービスに誘導する。
この誘導の仕方として、考えうるケースは、以下のシステムを利用する。
①現時点では、「ahamo」に対応する機種を持っていない場合、対応する機種を用意する必要がある。
②ドコモユーザーであれば、「ahamo」へのプラン変更前にドコモのサイトで機種変更をすれば良い。
③ドコモユーザー以外の場合は、ドコモで端末を購入し、一度ドコモの「ギガホ」または「ギガライト」を契約したうえで、「ahamo」にプラン変更するという手順が必要。
「ahamo」での機種変更は6月に対応予定なので、それまではドコモユーザー以外は、③のような面倒なことをしなければいけない。
③を切り口にして、「ギガホ」や「ギガライト」に引っ張り込んで、後は知らん顔ってことができる。
他にも、「他の会社からのMNP(電話番号そのままで他の通信会社に乗り換え)よりも、こちらのごうが手間が少ないですよ」と呼びかけて、客に取り込んでいくこともできる。
実際のところはMNPなんて難しいことは全然ないのだが、これも言葉巧みに客をだまして新規顧客を獲得していることになる。
代理店が自分の儲けのために余計なオプションを付けたり、アプリを色々インストールしておくってのは前からあったけど、今回問題なのはこれがNTTドコモの指示で行われているってことなんだと思う。
「ahamo」と「5Gギガホプラン」の違い
ahamoと5Gギガホプランの違いが詳しくわからないって人に向けての解説。
「ahamo」
提供開始日・・・2021年3月26日
月額料金・・・2,700円(税抜)
利用可能データ量・・・20GB
国内通話料 ・・・5分以内の通話無料 ※5分超過分は30秒で20円(税抜)
ネットワーク・・・5G/4G(LTE)
テザリング・・・無料
お申込み窓口・・・オンライン限定
キャリアメール ✖
留守番電話 ✖
spモード コンテンツ決済サービス ✖
相談窓口・・・専用チャット
故障対応・・・オンライン修理受付サービス
ケータイ補償サービス・・・対象
ご契約者・・・20歳以上の個人
対応機種 93機種(2021年3月現在)
「5Gギガホ プレミア」「ギガホ プレミア」
提供開始日・・・2021年4月1日
「5Gギガホ プレミア」は、月額6,650円(割引適用前)
データ容量の無制限。
利用データ量が3GB以下の月は、1,500円引き。
「ギガホ プレミア」も、月額6,550円(割引適用前)
4Gで毎月60GBまで利用可能。
「5Gギガホ プレミア」と同様に、利用データ量が3GB以下の月は1,500円割引。
各種割引を使うと、こんな感じ。
「5Gギガホ プレミア」「ギガホプレミア」
利用可能データ量 | 無制限(ギガホプレミアは60GBまで) | 3GB以内 |
割引適用前の料金 | 6,650円 | 5,150円(1,500円割引) |
みんなドコモ割3回線以上 | -1,000円 | -1,000円 |
ドコモ光セット割 | -1,000円 | -1,000円 |
dカードお支払割 | -170円 | -170円 |
支払料金 | 4,480円 | 2,980円 |
「ahamo」は2,700円(税抜)。「ギガホ」でも3GB以内にデータ通信量を抑えられれば、2,980円。料金はさして変わりない。
でもさ、普通「ギガホ」説明の際に「使いたい放題!」って推さないか?
だって、そのための「ギガ」プランなんだから。
それで、ちょっとでも3GBを超えたらもう大変。
5Gギガホプレミア、各種割引を適用しても、最安4,480円(税抜)に化ける。
これ、毎月の通信費だからね。
4,480円ー2,700円=1,780円の差。
1,780円×12=21,360円
ドコモは1年間で、21,360円儲けが増える。
これはそっくりそのまま、消費者にとってのマイナス分になるわけだ。
この差は大きい、受け取る側のドコモにとっても、支払う側の家計にとっても。
ahamo利用の際の注意点
こんなドコモのやり方に対して、Twitter上でも、yahoo!ニュースのの書き込みにしても、「まだ、そんなことやってんの?」「ひどするぎる!」みたいな意見が相次いだ。
いくつか紹介してみると、
- ahamoはオンライン専用ブランドなのに、ショップにチラシが貼ってあったのはこのようなからくりがあったのか。
- 「ギガホからドコモへの乗り換えだと楽」と言って勧誘しているようだが、実際には「ギガホプラン」から「ahamo」に変更するとエラーが表示されてしまう問題が起きている。他のキャリアからMNPしたほうがエラー回避できるのでわかりやすい。
- 出張販売は、高齢者が買い物に来る時間帯・スーパーの入り口にテントを貼り、たまに来る若めの人には声を掛けず、聞いてもわからないだろう年配者に『安くなります』と声をかけていた。
- 話聞いている人多かったので口車に乗せられギガホ契約の罠に掛かった方多そう。
- まだこんなバカなことをショップに指示してお客様をだまして契約を取っていたのかと思うと情けなくなります。
- だまして売る側も頭おかしくなりますよ。
- docomoに限らず、auやSoftBankにも言えることなんですが自分達にマイナスになることは一切説明しないですもんね。
- 新料金プランの見積もりを出してもらったら勝手に機種変更する予定の携帯カバーと画面の保護シートも見積りに入ってました。
- うちのばあちゃんが、ドコモに機種変しに行ったら、今までよりも高いプランに変更され要らないオプションも沢山勝手に付けられていた。口座振り込みなんで、月々の料金も分からないままずっと高額料金を支払っていた。
- 総務省もNTTとズブズブのか関係なのでお咎めなしなんでしょうね。
- そもそもギガ数だけ全面に出しているが、実際SPモードが使用出来なくなることも全面に伝えるべき。大きな変更点を隠して騙している。
最後のSPモードが使用できなくなる件だが、他のプランでは使えていたのに、ahamoに移行することで解約になってしまうサービスがいくつかある。
それに関してもしっかりと確認しておきたいところだ。
特に代表的なのは、spモード コンテンツ決済サービス。
これは、dメニュー掲載コンテンツ、Google PlayTM、App Store、Apple Music、iBooks、iTunes、iCloudなどから購入したコンテンツの代金を、毎月のケータイ料金と一緒に支払えるサービス。
4桁のパスワードを入力するだけで購入できるので、コンテンツの購入が大変に楽になる。
これが「ahamo」では使用できない。「ahamo」に移行すると、購入したコンテンツのデータがすべて消える。
- 他にも、
- ドコモメール
- ドコモ電話帳
- データ保管BOX/dフォト/クラウド容量オプション
- いちおしパック
- 留守番電話サービス
- メロディコール
などの、サービスが自動解約となりデータが消去される。
ここ最近のドコモの動きについて
ドコモ汚ねえぞ!ってののしるのは簡単なんだけど、ドコモにはドコモなりの事情があるんだな。
なにしろ、今回の携帯料金値下げはキャリアたちが望んだものではない。
寡占状態だった通信業界にとってはまさに黒船到来で、てんやわんやの大騒ぎだ。
利益などでソフトバンクなどに追従されるなかで、ドコモなりに生き残りをかけて必死になっているのだろう。
しかし、それにしても、このやり方はない。
官製の値下げにより生まれた「ahamo」を利用して顧客を集めようとしているのはまあ当然としても、それを利用してより高額なプランを押し付けようとするなんてもは、天下のNTT様がやってはいけないことではないか?
いや、逆かな。
天下のNTTだからこそ、そんなことをしているのかもしれない。
ご存知の通り、ドコモは2020年9月に、NTTが完全に子会社化することを発表した。
NTTの副社長井伊基之氏を社長にすえて、新生ドコモがスタート。
「ahamo」だけにとどまらず、この「5Gギガホプレミア」なるサービスを始める。
表向きは通信業界の改革にのった形になっているが、背後では良くない動きが出てくる。
2020年12月には代理店への頭金0円の強制。
2021年2月には、ドコモとauが他社に乗り換える際のMNP番号取得のページを意図的にweb検索で引っかからないようにする措置をとっていたことが総務省の調査で発覚。指摘を受けて訂正している。
表向きは「「ahamo」のおかげでドコモの顧客は流出が少ない」など発表しているが、強引な手法で客を集めているのが現状ではないか。
NTTの焦り
ドコモの背後にいる、NTTに焦りがある。
その焦りは、固定通信(おうちの電話)主流だった日本の風潮が、もはや移動通信(携帯・スマホ)主流の風潮へと移り変わってしまったことにある。
2020年6月には移動通信の契約数は2億6099万契約。たいして、固定通信の契約数は5342万だ。
もはや電話は家にあるものではなくて、持ち運ぶのが当然の時代なのである。
それは通信を今まで支配してきたNTT様の天下に、陰りがさしたことを意味する。
楽天のように三大キャリアに挑むMVNOも現れた。
ここで、先も言った通り、NTTはドコモを完全に子会社化して、「ahamo」に加えて「ギガホプレミア」を市場に導入して迎え撃つ構えを見せた。
固定電話の権益を守るのではなく、積極的に移動通信化を進める「攻め」の姿勢に転換したのだ。
これは日本の通信業界において革命的といってもよいのではないか?
しかし、その革命の裏でこんなことをやっているようでは、ドコモの格(おそらくはNTTの格)もたかが知れていると言われても仕方がないかと思う。
詐欺とまでは言わないがが、顧客をだましているのと大して変わらないではないか。
従わざるをえない代理店の事情
ドコモの指示に従わざるを得ない代理店の事情も厳しい。
「ahamo」や「povo」などは全てオンラインのみのサービスなので、今後は代理店が不要になってくる。
彼らにしてみれば、死活問題だ。
ドコモの指示もあったと思うが、こういった詐欺まがいのことをしなければ生き残れないところまで来ているのかもしれない。
しかし、俺的には正直、もう代理店はいらないんじゃないかと思っている。
少なくとも、今の時点でこんな状況なら、代理店なんてもうなくすべきだ。
俺自身も、代理店を利用して一度嫌な思いをしている。
あの人ら、とにかく様々なサービスをあの手この手と押し付けてとにかく利益を得ようとするのだ。
ある意味、それは当然である。
彼らも生き残るためには、そうしないといけないのだから。
でもさ、もうそういう考え方が通じない時代になってきているんじゃないか?
キャリアとは別に対面でサービスできるという面もあり、それが役立つときもあるゆえ「必要悪」であるという考え方もあるが、それはもう時代に合っていない気がする。
消費者が賢くならねばならぬ
とにもかくにも、俺たち消費者は賢くならないといけない。
そうすることによって、代理店などの必要悪は存在できなくなる。
ドコモも誰も引っかからなければ、アハモフックなどという罠を仕掛けても無駄だと知ることだろう。
これは今回の話だけに限らない。よくある高齢者をカモにした詐欺なんかもそうだ。
みんながひっからなければ、詐欺を行うものたちも自然と消滅する。
業者たちには業者なりの都合がある。今これだけ大きく揺らんでいる業界なら、なおさらだ。
だけど、それを許すか許さないかは俺たち消費者に決める権利がある。
俺たちはその権利を行使できるように、知識を身につけようではないか。
数か月前までは、iPhoneとスマホの区別もつかなかったおっさんが言うのもなんだが、このブログではなるべく高齢者でもわかりやすく、専門的な言葉をかみ砕いて語っていきたいと思っている。
まだまだ俺は勉強不足だ。このブログを見て、人生が豊かになった!って人が増えるように頑張っていきたいと思っている。
エンタメから学ぶシリーズも、同様ね(´▽`)b
ってことで、今回は以上だ。ドコモの販売手口に乗るな!出張販売の口車に乗せられるな!自分で調べて、自分にとって最適な契約を結ぼう!
最後まで読んでくれてありがとう!!